チップ
普通の女子高生だった私だったが、夏の日のある日、私の父親が何者かにさらわれる。そんな私の元に秘密捜査官と呼ばれる人間が現れ、父親をさらったのは自分たちだと言う。
捜査官は私に指に乗るサイズくらいの小さなマイクロチップを私に渡し、そのチップを奪おうとする組織からこれを命懸けてでも守れと言われる。
もし、そのチップを組織に渡らせたら父親を殺すと捜査官は言った。
私は言われるがままにそのチップを飲み込み、胃袋の中にそのチップを隠す。
しかし数日後、私は早速組織に襲われ、護身術も何も身につけていない私は簡単に組織に捕まってしまう。そして私の胃袋からチップを吐かせるため、彼らのアジトである倉庫でお腹への拷問が始まる。
「おい、この姉ちゃん、自分の腹の中にチップを隠しているぜ、プニプニした可愛らしい腹だなあ」
手を鎖で縛り、大の字の状態で壁に貼り付けにしている私に組織の男の一人がシャツを捲り、私の白いお腹を指で軽く押す。
「やめて…ください…」
顔を男から背けて、蚊の鳴くような情けない声で私は恐怖に怯えながらつぶやく。
「やめてください。だってよ」
男は声を高くして、私の真似をして笑う。
「でも、そういうわけには行かないんだな」
と、男は触っていた指を引っ込めて拳を作り、私の胃袋の辺りを殴る。
「ウッ!」
激痛が私のお腹に走る。初めて殴られたのと、不意打ちだったのとで口の中にあった唾液を思わず殴られた反動で吐いた息と共に吐き出してしまう。
「あああ、汚ねえなあ。お前の唾が顔にかかったじゃねえか、よ!」
「ウッ!」
続けざまに、同じ場所に男のこぶしがめり込む。さっきよりも力は強い気がした。胃袋が破裂したかと思うほどの激痛に襲われる。
むせ返す私。息ができなくて苦しいのと、どうしてこんな目に遭わないといけないのかという悔しい思いで目から涙が溢れて止まらなくなる。
「おいおい。そんなに強くしたらこの姉ちゃん、一時間と持たないぞ。もしかしたら、
警察の野郎は、この姉ちゃんが死んだと同時にチップが破損するようにセットしているかもしらないんだからな」
後ろからもう一人組織の男らしき男が現れ、そう言った。
「それもそうだな。手加減しないと、な!」
「ウッ! アアアア!」
完全に潰れたかと思った。いや、潰れたかというよりも破裂したかという表現の方が正しいのかもしれない。お腹を殴られた瞬間に、血の気がなくなった気がした。
「だからさ、手加減しろって。そんなに凹んでいるじゃないか。姉ちゃんの腹」
拳で深くめり込む私のお腹を見ながら殴っていない方一人の男はニヤリと笑う。
「おお、ごめんごめん。じゃあ軽くな」
そして連続して男の拳が私のお腹にめり込む。強さはあまり変わっていない。
「ウッ ウッ ウッ!!」
右、左、右、左
男のボディーブローが私の鍛えていない柔らかいお腹を何度も凹ませる。
「ほらよ」
そして男は私のお腹に膝蹴りをしてきた。
「ウウウウウウ!!ウェ」
男の放った膝蹴りで私は、胃袋から込み上げるものを押さえきれずに吐き出した。シャツの首もとが茶色とも黄色とも言えないものに染まっていく。
「ほら、言わんこっちゃない」
「だって、こんなことで吐くとは思わなかったぜ」
殴った男が頭を掻いて、苦笑いをする。
「で、チップは?」
「はいよ」
男は私の汚れた首元を顔を引きつらせながら慎重に見つめる。
「臭せえなあ。ああ、チップはないみたいだ」
男は私の首を見て被りを振る。
「そうか。じゃあ、ちょっとやり方を変えなくてはな」
「クソ、手間を取らせやがって、よ!」
「ウッ!」
男の怒りのこもった裏拳でお腹を殴られた瞬間、私の意識は遠のいた。
意識を取り戻すと、さっき私を殴った男は今度はバットを持っていた。
「今度はこれだ」
男はバットを私のお腹に近づかせる。
「よし、いくぞコラ!」
「ウッ!!」
バットを縦にして、私のお腹に突き刺す。
バットの先端は私のお腹の皮膚で見えなくなるほどに私のお腹は凹まされた。
「ゴホ!ゴホ!」
「どうだ? 痛いだろ? もういっちょ。今度は胃袋じゃない所を」
「ウッ!」
バットは私の胸とお腹の間、鳩尾を的確に突き刺した。
「ア、ハア、ハア、ア、ア」
私は呼吸困難に陥る。
「苦しそうだなあ。でも、ごめんな。これもお前の胃からチップを吐き出させるためだ」
「ウッ、ウッ、ウッ」
男は何度も私のお腹をバットで突き刺す。私は胃液だけ口から吐き出す。胃の中のものはさっき殴られたときにもう全部吐き出した。
「ゴホ、ゴホ」
胃袋の収縮が止まらない。意識がまた遠のく。
「チッ!これでも無理か」
何度か私のお腹を刺したあと、男はバットを地面に置いた。
「待ってな次の作戦を練るから、よ」
そう言って私のお腹に男は前蹴りをした
「ウッ!ゴホゴホ!ウェ!!」
私は嗚咽をしても、胃液さえも出なくなってしまった。
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